青山学院大学文学部英米文学科同窓会
The Alumni Association of the Department of English at Aoyama Gakuin University第37回セミナー開催報告
演 題 「オースティンの小説『説得』を読む」(全3回)
講 師 久守和子先生(フェリス女学院大学名誉教授)
開催日 2025年10月11日、25日、11月8日
会 場 短大北校舎1階N103教室
正門からロータリーまでの銀杏並木も黄金色に染まり、周りの木々も紅葉美しいキャンパスのなか、学生たちのざわめきを背にして3回のセミナーで学校に通いました。
今回のセミナーは久守和子先生をお迎えし、10月に2回、11月に1回、2時間ずつ、オースティンの晩年の作品『説得』を読みました。小説の内容はもちろんのこと、先生ご自身が留学されていた時代の話や、海外での生活体験を織り交ぜながらの講義は楽しく興味深いものでした。
『説得』には、準男爵の娘アン・エリオットを中心に、生活環境、または属している社会等を映した現実の厳しさ、そしてアン自身の人生の移ろいと繊細な恋心がしみじみと描かれています。アンは19歳の時に母親代わりのラッセル夫人に説得されて、愛する婚約者との別れを決意し結婚を諦めた、その悲しみがアンの性格に影響を与え、年よりも老けてやつれた感じになっていました。やがて8年が過ぎ、愛していたウエントワース大佐と再会し、変わらぬ二人の愛を確かめた時、アンの顔に輝きが戻り、紆余曲折を経てふたりは幸せな結婚をします。
秋から冬へと移ろう季節を背景に、一度は諦めた恋が8年の時を経て再び結ばれるまでの、アンとウエントワース大佐の深い愛の話が淡々と語られている味わい深いしみじみと心に響く作品でした。 (記:副会長 上田桂子)
セミナーの様子
オースティンのロゴ入りパーカーをお召しの久守先生
学食での茶話会