本の紹介『前奏曲集』
2025年01月14日
フランス文学科同窓生の阿部安治さん(’76卒)が『前奏曲集』を上梓されました。以下、著者よりメッセージをいただいております。皆さま是非お読みくださいますようご紹介いたします。
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私は1970年の春に文学部のフランス文学科に入学しました。関西エリアから出てきた私にとって、渋谷・青山の風景はとても新鮮に映りました。文学の研究も深めるべきだと、サークルでは文芸部を選びました。そこで、同人誌を作ることになり三度の発刊をしました。ある日、担任だった石井晴一先生に、同人誌ばかりに力を入れないでちゃんと授業に出なさい、と図書館の前で厳しく注意されたことを覚えています。その後、小さな出版社に入り、そこでの仕事を40年ほど続けた後に、社を辞めて学生の頃から自分自身に約束をしていた創作の作業に入りました。退職後の年齢で何ができるか、というチャレンジでもありました。幸いに千代田区主催の文学賞の大賞を受賞し、それを機に、いろいろな文学関係の繋がりが広がっています。 昨年、友人の勧めもあり小説集を発刊しました。機関誌には出している作品はありますが、単著は初めてです。全体に昭和という時代を背景にしたものです。昭和から地続きの、今の世相も見ながら書いています。亡くなった石井先生には、あの頃だらしなくしていたグータラ学生が古稀を過ぎて、それなりに頑張っています、と伝えたい気持ちです。