フランス文学科同窓会

French Literature Department Alumni Association

戸部松実先生からの贈り物

2026年06月29日

戸部松実先生が上梓された『堀辰雄と万葉集』をフランス文学科卒業生に差し上げます。

戸部先生のお手紙を読んでこの本をご希望される方は下記のメールアドレスにお名前、卒業年度、郵送先のご住所を書いてお申し込みください。先着12名、お一人一冊までとさせていただきますので、あらかじめご承知おきください。

agu.litteraturefrancaise@gmail.com

 

戸部松実先生のお手紙

『堀辰雄と万葉集 —-「いざ生きめやも」を巡って―― 』という本は、私が「終活」のつもりで、2024年にまったくの私家本として上梓し、少部数をごく親しい人たちにお配りしたものです。それが思わぬ評判を呼び、手許にあった冊子はアッという間に全部出払ってしまいました。その結果、「私も欲しい」と言って来た方々に差し上げる分が一冊もなくなってしまったのです。

そんな折、先にお世話になった出版社の社長さんから、電子化したらどうか、POD本にすることも出来ます、というご提案を頂きました。それで自分自身は電子書籍なんて読んだこともなく、POD本の何たるかも知らないまま、「渡りに船」と、さっそく出版をお願いすることにしました。

というのも、予想もしなかったことですが、間接のルートによってこの本を読んだ方々、顔を見たこともなければ声を聞いたこともない読者から、熱い想いの籠った感想が私の許に次々と寄せられたり、中には書いた当人が意識もしていなかったところまで深く読み込んで下さった方もあったりして、私は、この齢になって初めて(今年で満90歳です)、人はその書いたものによって、直接の対面、会話によるよりも、もっと確実に、もっと深く、真実な人間関係を築き上げることが出来るのだ、ということを知りました。そして未だ経験したことのない、大いなる歓びを味わわせて頂いたのです。

翻って、ほぼ三十年に及んだ自分の職業生活を顧みますと、その間に、学園紛争と厚木移転という二大事件があり、その混乱状態のなかで、私は何が何だかわけも分からずに、ただ無我夢中であがき、突っ走って来たように思います。そんなこんなで授業に専念することも出来ず、中途半端な状態で学園を去ることになってしまいました。

それで、言わば「最終講義」ともいうべきものとして、本書を同窓会の方々に読んで頂ければ、少しはその埋め合わせが出来るのではないかと思いつきました。「講義」とは言え、決して堅苦しい読み物ではなく、書いた当人が、なんの制約も受けず、自由気ままに書いたものですので、読む方々も、肩に力を入れず、気のむくままに読んで頂けたら嬉しいと思います。

 

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